連合大阪「めざすべき社会像」
連合は、2010年12月、めざすべき新しい社会像として「働くことを軸とする安心社会」を提起しました。
「働くことを軸とする安心社会」とは、働くことに最も重要な価値を置く社会です。雇用されて働いたり、ボランティアをしたり、家事をしたり、いろいろな働き方を通じて社会に参加できること。とくに雇用されている場合は、公正な労働条件で働けること。それぞれの人が社会的にも経済的にも自立して、お互いに支え合うこと。安心して自己実現に挑戦できるセーフティネットが組み込まれていること。これらの条件を満たす、活力あふれた参加型の社会をさします。
「働くことを軸とする安心社会」の実現のためには、働きたいすべての人に働く機会が確保されていなければなりません。しかし、日本社会の現状は、非正規雇用率の増加による良質な雇用の減少、ブラック企業問題、保育や介護などのさまざまな事情により働くことができないなど、多くの問題があります。
これらさまざまな困難を取り除き、「働きたい!」という人々の思いを実現するには、「5つの安心の橋」を架ける必要があります。
「5つの安心の橋」
これらの橋を架けるには、職業訓練、子育て支援や介護サービスなど、公共サービスの充実が必要です。また、NPOなどの民間団体との連携による、新しい社会の形を創造していかなければなりません。働きたいすべての人が働くことができ、その自立を支援することは「未来への投資」となります。
人間らしい生活ができる労働条件のもと、ゆとりを持って働けてこそ、豊かな人生が送れます。それが働きがいにつながり、生産性を向上させ、労使双方に好循環をもたらします。こうしたディーセントワークを実現するには、3つの条件があります。
日本の最低賃金は、男性正社員の所得を補う主婦などを意識した水準に止まっているため、他の先進国と比べて低くなっています。しかし、今や非正規労働者も正社員と変わらない仕事をし、その上、家計を担っている場合も増えています。同一価値の仕事には同一水準の賃金が払われるべきです。
日本型の長期雇用は、個人に安定した生活基盤・コミュニティを与える、すぐれた慣行です。そして短期雇用も含めて、あらゆる職場コミュニティは、客観的で公正な評価システムと均等待遇を基本とし、やりがいを感じられ、途中参加も可能な開かれたものであることが求められます。
労働時間を短縮し、男女とも職場だけでなく、家庭や地域で活動する時間を増やすことはとても重要です。子育てや介護などで家族責任があっても、男女がともに働き続けられる環境が整えば、介護・保育・医療分野での雇用や需要も高まり、正社員の残業が減れば、その分は新たな雇用に回るでしょう。