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まずは内需拡大、
そして公正と連帯を重んじる社会へ

事務局長 脇本 ちよみ

 今、私たちを取り巻く環境は、サブプライムローン問題に端を発した世界的な金融不安と景気後退によって、急速に行き詰まりを見せています。実体経済についても需要が低迷し、これまで「いざなぎ景気超え」と言われながらも実感のなかった景気回復は底の見えない状況に陥り、さらに深刻さを増しながら雇用問題へと波及しています。

 日本においても、これまで経済の牽引役とも言える自動車や電機業界の業績の下方修正が相次ぎ、当初計画を大幅に下回る厳しい結果となる見込みであります。労働環境もパートや派遣労働者などの非正規労働者は、1890万人と今や働く人の35%を超え、年収200万円以下の世帯が約23%となり、生活保護水準以下の低賃金で働くワーキングプアが増加の一途をたどっています。さらに今回の景気後退に伴い、心ない使用者側は、非正規労働者の契約解除の「派遣切り」や「雇い止め」を安易に行い、生活・雇用問題をかつてないスピードでより深刻化させています。

 連合は緊急雇用対策として経団連との「雇用安定・創出に向けた労使共同宣言」を行い、セーフティネットの拡充や雇用創出を政府へ求めました。連合大阪もこの間、行政や経営者団体へ雇用調整助成金の活用による雇用維持や住居の困窮に陥らないような支援施策について要請を行うと同時に、行政と連携を図りながらワンストップサービスでの緊急相談会を行ってきました。

 このような状況下で取り組む2009春季生活闘争は、マクロ経済を内需主導型経済へと転換し、国民の不安を解消し、豊かに安心して生活できる「総合生活改善」と位置づけられています。そして物価上昇分に見合うベアも含めた「賃金引き上げこそ最大の景気対策」との認識の下、労働諸条件の改善と格差是正に向けた取り組みこそが急務となっています。

 具体的には、特に「賃上げ」の取り組みとして賃金カーブ維持分と物価上昇の生活維持分を加えた要求を確立するとともに、年齢ポイント別ミニマム額の設定、企業内最低賃金協定の締結、パート労働者の時間給改善などを提起しています。

 また、内需拡大のために企業が利益の分配構造のあり方を見直すとともに、日本的な"人を大切にするマインド"を取り戻した上で、「非正規労働の規制を含めたワークルール確立とともに、将来に向かってワーク・ライフ・バランスをどう実現させるか」という切り口で労使が真摯な議論を重ねることも今春闘の大きな課題であります。

 その意味でも今春闘は、これまでの行き過ぎた市場原理主義の価値観から公正と連帯を重んじる社会をめざし、将来的にも持続可能な希望の国日本へ舵を切る政策転換の重要な闘争とも認識しています。

 連合大阪は、連合加盟の組合員だけでなく、大阪府域で働く仲間のために、構成組織・地域組織と力をあわせて「賃金引上げ」「格差是正」「ワークルールの確立」等に全力で取り組む決意です。その闘いの一助にとこのたび「春闘資料集」をまとめました。

 構成組織や単組での積極的なご活用を願います。