厚生労働省から「医療計画(※13)の作成指針」が示され、都道府県では2013(平成25)年度からの医療計画(5か年計画)の策定作業を2012(平成24)年度に行うこととなっている。現在、大きな課題となっている第2次医療圏(※14)における救急診療や夜間・休日診療体制、周産期医療(※15)・小児医療体制、災害時の医療提供体制について、整備目標を立てること。また、医師不足や地域別偏在を是正すること。
全国順位で著しく検診率の低い五つのがん(肺・胃・大腸・乳・子宮)について、検診率向上の有効的な施策を講じること。
HIV・エイズの正しい知識の普及、感染者・患者数の減少、即日検査も含めた相談・検査のさらなる拡充にむけて取り組むこと。
不妊治療を受ける夫婦の経済的負担を軽減するため、不妊治療に要する費用の一部助成を拡充させていくこと。また、妊娠しても流産や死産を繰り返す不育症(※16)は、特殊な場合を除いて正しい検査と治療を行うことで、80%以上の人が子どもを出産することができることから不育症治療に対する助成制度を確立すること。さらに、不妊治療や不育症治療は精神的負担も大きいことから、カウンセリング機関・窓口を充実させること。
地域包括支援センター(※17)の機能や役割を強化し、介護、介護予防、医療、生活支援サービス、住宅、の五つ視点で、入院・退院・在宅復帰を通じて切れ目なく、利用者のニーズに応じて適切な組み合わせでサービスが受けられる「地域包括ケアシステム(※18)」の確立に向けた取り組みが不可欠になっている。2017(平成29)年度末の介護療養病床(※19)の廃止期限を踏まえ、計画的な削減・病床の転換を進めていくこと。その際、要介護高齢者の行き場がなくならないよう十分配慮すること。また、要介護高齢者が、できる限り住み慣れた地域での在宅生活を続けられるよう、医療機関とも連携をし、定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスの充実を図ること。
介護事業者に対する指導・監査について市町村との連携を強化すること。また、事業所が廃止される場合には、利用者のサービス継続の確保、利用者と馴染みのある介護労働者の雇用確保についても、市町村とも十分な連携を行い、支援を行うこと。
「早期発見・早期治療」が必要とされる認知症の対策について、認知症へのケアシステムを開発充実させるとともに、介護施設および介護サービスの強化を図ること。また、認知症検診の医療体制整備と専門医の育成に努めること。
障がい者の自立支援と社会参加促進の観点から、利用者の実情に応じた障がい者支援サービスを適切に提供することを求める。そこで広域的な地域生活支援事業として、1)研修および啓発活動、2)障がい者や家族などの活動に対する支援事業、3)後見制度に関する人材の育成や研修事業、手話通訳などの養成事業を追加および補強すること。
障がい者本人の希望を尊重して作成されたサービス利用計画案に基づき、支給決定が行われるよう相談支援体制を確立すること。また、障がい福祉サービスの利用者負担、施設居住費・食費、自立支援医療の自己負担などについては、障がい者の負担能力に配慮して、適正かつ公平な負担とすること。
こども・未来プラン(大阪府次世代育成支援行動計画)後期計画が、2012(平成24)年度で中間年度にあたることから、「子育て目標」として掲げている数値などを検証し中間総括を行うこと。また、関係審議会や府民からのパブリックコメントなどで意見聴取を行い、2013(平成25)年度以降に目標達成に向けて計画の補強を実施すること。
2012年4月1日現在で認可保育所に入れない待機児童が府域で2050人(昨年同期比340人増)となっていることから、保育所待機児童の解消にむけて、市町村と連携して取り組みを強化すること。また、保育ニーズの充足および保育の質を維持するためにも、大阪府内の保育施設で保育士の配置を増やせるよう、独自の予算措置による保育人材雇用支援事業を大阪府として実施すること。
関連資料
今般の見直しでは、医療計画に記載する事項として、がん、脳卒中、急性心筋梗塞および糖尿病の4疾病ならびに救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、および小児医療の5事業に加え、新たに精神疾患が加わった。また、この5疾病5事業と合わせて、在宅医療についても計画に定めることとなった。