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2018年度 大阪市立大学・連合大阪寄付講座

<第10回>
ケーススタディ③

非正規労働者の組織化の現状と課題

講義のねらい

「働くこととは」、「労働組合、労働運動とは」、「労働者の権利とは」、「働くことをめぐる諸課題」等などについて考え、理解するとともに、そうした上で働き、社会活動を行っていく人材を育成することを目的とする。

講義内容要約

<第10回>ケーススタディ③ 非正規労働者の組織化の現状と課題
日時 2018年12月10日(月)13:00〜14:30
場所 大阪市立大学
講師 廣澤 茂久(UAゼンセン大阪府支部主任)
趣旨 「UAゼンセン」とは、約172万人の組合員が加盟する日本最大の産業別労働組合である。労働組合の組織率が低下する中、組織拡大運動(組合づくり)の意義、また流通業界で働く人の5割を占める非正規労働者を組織化する目的、実情、課題等を説明する。
テーマ 非正規労働者の組織化の現状と課題
内容

1.UAゼンセンについて

 正式名称は、全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟

2.UAゼンセンが考える労使関係

  • (1)企業の安定、発展なくして、雇用の安定、労働条件の維持・向上なし
  • (2)日常の業務改善や生産性向上に協力⇒公正な成果配分
  • (3)産業の発展なくして、企業の発展なし⇒産業政策・政策要求活動
  • (4)労使の信頼関係の構築⇒企業別労使会議・産業別労使会議の推進
  • (5)労使対等の原則(互い立場を尊重)⇒階級闘争でない民主的労働運動

3.働き方改革

  • (1)「ニッポン一億総活躍プラン」に対して
    女性や若者などの多様で柔軟な働き方の選択を広げるためには、我が国の労働者の約4割を占める非正規雇用労働者の待遇改善は、待ったなしの重要課題である。非正規という言葉を無くす決意で臨む。
  • (2)働き方改革実行計画
    検討テーマ9分野、この内、
    • ① 非正規雇用の処遇改善に対する今後の対応の方向性
      正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差を解消し、どのよ うな雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにし、我が国から「非正規」という言葉を一掃することを目指し、同一労働同一賃金の法整備を実現する。
    • ② 女性・若者が活躍しやすい環境整備に対する今後の対応の方向性
      パートタイム女性が就業調整を意識しない環境整備や正社員女性の復職など多様な女性活躍の推進

4.組合員の働き方〜今、こんなことが起こっています

  • (1)大きな課題は賃金水準である。一般労働者の男性は年齢とともに順調に上がっていくが、女性と正社員以外の労働者はほとんど上がらない。
  • (2)外食産業と流通産業では、休日に働くことが多い。休日保育を望む声が多い。一方、UAゼンセンの中には保育所の労働組合もあり、そこで働く人の声を聞くとやはり休日には休みたいと思っている。
  • (3)介護が大きな問題となっている。親の介護のために仕事を辞める介護離職者が急増している。

5.これからの事

 現在、非正規労働者の割合が高くなっているが、年代別で見ると年齢が高ければ高いほどその割合が高い。

 正規社員への転換ルールを作っている企業が4割もあるが、実際に正規社員103万の壁や所得税の配偶者控除に伴う年収の調整について、就業調整をしている方が多い。年金についても見直しがされなければならない。社会保険適用の範囲が広がったことはいいことだと思うが、さらなる拡充が必要だと考えている。

6.最後に

 明日は何があるかわからない。今を大事にしないといけない。あきらめないことが大事。他人と過去は変えられないが、明日と自分は変えられると考えている。皆さんとともに明日の日本のことをともに考えられたらと思う。

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