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連合大阪 事務局長談話

大阪市及び大阪府における「一体的な行政運営の推進に関する条例」可決を受けての談話

2021年3月26日
日本労働組合総連合会大阪府連合会
事務局長 井尻 雅之

 本日、大阪市会で「大阪市及び大阪府における一体的な行政運営の推進に関する条例」いわゆる「広域行政一元化条例」が大阪維新の会と公明の賛成多数によって可決された。この条例案は、3月24日、大阪府議会でも可決されている。これにより、4月1日から同条例が施行されることとなった。

 同条例は、「広域一元化」の名の下で大阪市の成長戦略や都市計画の権限・財源を大阪府に事務移管するものであり、「大阪市を廃止・分割するいわゆる『都構想』」の代案とも言われている。昨年11月1日に究極の民主主義として実施された「大阪市廃止・特別区設置住民投票」において否決されたにもかかわらず、「民意」を無視したものと断じざるを得ない。また、それだけに慎重な議会審議が求められる中、条例案の上程前に実施した短期間のパブリックコメントに寄せられた意見も十分議論されず、多くの疑念について、市民への説明が不十分なまま可決されたことは、極めて遺憾である。

 吉村知事・松井市長は、条例制定により「僅差で否決された住民投票の民意を反映する仕組みで二重行政の解消をはかる」としているが、同条例は、都道府県から市町村へ権限を委譲する地方分権の流れに逆行するものである。なにより、自治体として重要な都市計画権限を事務委託という形で失うことになれば、大阪市民が大阪市の街づくりに自らの意志を反映し難くなり、重大な不利益を被るおそれがある。

 大都市制度を巡る課題は、少子高齢化が進む中、「基礎自治体優先の原則」で首都圏集中の是正や地方分権を進めていかなければならないが、道府県と指定都市の役割分担が不明確であり、特別区設置や特別自治市創設なども模索されている。しかし、抜本的な地方自治制度改革は、住民の暮らしに大きく影響するため、短期間で拙速に進めるのではなく、地方の実情に合った対策を丁寧に取り組んでいくことが肝要である。

 今後「広域行政一元化条例」のもとで、具体的な事務事業の移管や規約が議会において審議される見通しである。いまだ新型コロナウイルス感染症の収束が見通せず、市民・府民生活に大きな影響が出ている中で、まず、第一に行なうべきは、住民の命と暮らしを守ることであり、コロナ禍で厳しい財政状況に置かれている府域の市町村との連携強化によるコロナ対策である。議会での審議を注視するとともに、引き続き、「連合大阪政策・政治フォーラム議員(連合大阪推薦議員)」との連携による議会対策を進め、幅広い関係団体とも連携し、住民自治を守る取り組みを強めていく。

以 上