連合大阪 事務局長談話
2020年6月19日
日本労働組合総連合会大阪府連合会
事務局長 井尻 雅之
本日、第35回大都市制度(特別区設置)協議会が開かれ、大阪市を廃止し、特別区に分割する制度案(協定書)が採決され、大阪維新の会と公明党、自民党府議団の賛成多数で可決された。これにより、総務省との協議のうえ早ければ8月の大阪府議会、大阪市会で協定書案がはかられ、可決されれば、11月に再び住民投票が実施される見通しとなった。
今回可決された協定書は、昨年12月に確認された素案をもとに作成されたが、特別区の庁舎共有が住民サービスに及ぼす影響、災害発生時の対応、将来的な財源の問題など、何ら進捗がないまま策定されたものだ。総務省には協定書案の審査において、コロナ禍の影響を反映した財政シミュレーションの要請を意見書に付記することを期待したい。特に制度設計の基礎となる財政シミュレーションについては、新型コロナウイルス感染症対策により、大阪府・市の財政状況が大きく悪化するおそれが高まるにもかかわらず、見直しもせず住民投票にて判断を求めるのは、極めて無責任と言わざるを得ない。10年間で約1兆円の経済効果もインバウンドやカジノ・IR構想などが前提となっていたが状況は一変している。いまだ、新型コロナウイルス感染拡大の収束が見通せず、第2波、第3波についても警戒を強めなくてはならず、緊急事態宣言による大阪の社会経済活動が大きな影響をうけている中、膨大なコストをかけ、生活のベースとなる「都市のかたち」の変更に挑むべきではない。府市が実施した「特別区制度に関するパブリックコメント(4月10日〜5月31日)」でも、「大阪市廃止・分割構想」より「コロナ対策」を優先すべきとの意見が1/4を占めている。今、優先すべきは新型コロナウイルス感染拡大を抑えながら、社会経済活動とのバランスをどのように保っていくかである。その為には、財政調整基金を含めた大阪府・市の財源を最大限活用して、医療体制の充実と生活再建を含めた社会経済活動等に対策を講じることが最優先されるべきであり、こうした状況下で住民投票実施にむけた姿勢が示されたことは、極めて遺憾である。
連合大阪は、これまで「大阪市廃止・分割構想」について、住民サービスの低下を招くことから、反対の姿勢を示してきた。しかしながら、11月と言われている「住民投票」の実施が想定されることから、今後、組合員のみならず、広く市民に対して制度の問題点の理解を図っていくとともに、多様な団体とも連携をはかり、あらためて「大阪市廃止・分割構想」阻止に向けた取り組みを展開していく。
以 上