2013年1月30日更新
連合は、従業員300人未満の中小企業で働く組合員の個別賃金実態を調査し、大手企業との賃金格差是正をはかるため、全国の地方連合会を中心にして「地域ミニマム運動」を行っている。連合大阪では2001年から賃金実態調査を開始し、地道に運動の拡大、推進をはかってきた。
本年度は、15構成組織・192加盟組合(単組)・21,041人分のデータを集約、35歳ポイントで月額223,000円の連合大阪地域ミニマム額を設定した。
このデータをもとに、「連合大阪地域ミニマム額(最低でも、確保する賃金額)」を設定する。その金額設定の根拠は、大阪における個別賃金全数調査集計の第1十分位数(基準内賃金を低い方から順に並べた場合、低い方から10%目にあたる値)の特性値を基準としている。
具体的には、12,740人(全体比60.5%)分を集約した製造業の第1十分位数(3次回帰:18歳から55歳までの軌跡を3次曲線に表し、そこにあてはまる値)の特性値を基準としている。加えて「連合大阪到達すべき水準目標額」も設定した。この水準目標額は、地域ミニマム額をクリアした上で、次のステップとして格差是正のために到達すべき賃金水準目標額という位置づけである。具体的には、下記のとおりの水準目標額を設定した。
2013 連合大阪設定額 (時間額換算:所定内実労働時間=165H) |
製造業 男女計 :特性値(3次回帰) |
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年齢 | 地域ミニマム額 | 到達すべき 水準目標額 |
第1十分位 | 第1四分位 | 中位 | ||
月額 | 時間額 | 月額 | 時間額 | ||||
18歳 | ¥158,000 | ¥958 | ¥163,000 | ¥988 | ¥155,500 | ¥161,100 | ¥161,500 |
20歳 | ¥164,000 | ¥994 | ¥170,000 | ¥1,030 | ¥162,200 | ¥168,000 | ¥172,700 |
25歳 | ¥181,000 | ¥1,097 | ¥190,000 | ¥1,152 | ¥180,400 | ¥189,000 | ¥202,500 |
30歳 | ¥202,000 | ¥1,224 | ¥215,000 | ¥1,303 | ¥199,500 | ¥213,400 | ¥233,300 |
35歳 | ¥223,000 | ¥1,352 | ¥240,000 | ¥1,455 | ¥218,100 | ¥238,200 | ¥262,400 |
40歳 | ¥245,000 | ¥1,485 | ¥265,000 | ¥1,606 | ¥234,900 | ¥260,700 | ¥290,300 |
45歳 | ¥264,000 | ¥1,600 | ¥285,000 | ¥1,727 | ¥248,500 | ¥278,000 | ¥312,600 |
50歳 | ¥281,000 | ¥1,703 | ¥300,000 | ¥1,818 | ¥257,400 | ¥287,300 | ¥328,200 |
55歳 | ¥294,000 | ¥1,782 | ¥315,000 | ¥1,909 | ¥260,400 | ¥285,700 | ¥335,000 |
大手企業と中小企業との間には、まだまだ賃金格差が存在する。そこで、この分析結果を社会的にアピールし、中小企業の賃金格差の是正をはかっていく。大阪府中小企業団体中央会などの経営者団体には、この地域ミニマム運動について申し入れを行い、会員企業への周知徹底を強く求めることとする。
また、この個別賃金実態調査に協力いただいた加盟組合には、自組織と大阪の全産業および当該産業との賃金水準が容易に比較できる「賃金プロット図」などの調査資料をお渡しする。そこで「賃金カーブ」を割り出し、個別賃金方式の確立に向けて、取り組みを強化する。
長いデフレから脱却するためには、賃上げと雇用の安定を通じて個人消費を拡大させなければならない。とくに、中小企業では賃金制度がないところも多く、生活基盤である月例賃金や一時金の低下傾向に歯止めをかけていかなければ、デフレ脱却は難しい。そのためにも着実に交渉を進め、この「地域ミニマム運動」はもちろんのこと、賃金カーブ維持相当分4500円以上と1%の賃金改善を、実現していこう。