2008年10月16日更新
連合大阪中小支援委員会は、狩谷道生氏(JAM大阪副書記長)を講師に10月11日、「労働組合の視点からの『経営分析研修会』」を開催し、31組織より62名が参加した。
財務諸表に基づき、損益計算書、貸借対照表を中心に企業の決算書の見方から始まり、キャッシュフロー分析、加工高分析を行い、比率表を基に収益性、営業構造、安全性の説明を受けた。
企業合理化問題の実体験にたち、上場企業と中小企業の経営数値を題材に研修を受けた。
経営分析は比較に始まり比較に終わるといわれる。細部にわたらなくとも大局を見ること、経営状況の長期の流れとその中の段階でとりわけ屈折点を見いだすことが大切である。そのために、5年間以上の経年比較と同業他社比較をもとに、自社の状況を分析して問題点の洗い出しを行い、労働組合から経営に対する監視、チェック、提言、要求する取り組みが必要である。
折からの米サブプライムローンを発端にリーマンブラザーズの破綻、GMのリストラなど、景気の減速が日本企業、特に中小企業に波及することは明白であり、今後、大幅なリストラも予想される。
雇用合理化や倒産に対する対応は、どうしても労働者にとって苦痛(犠牲)を強いられることとなる。自分たちの雇用や労働条件、企業を守るために、どうして行くのか、時には組合員と真剣な討議を行い、組合から企業再建策を提示することが必要である。もちろん、分析を基に交渉するに当たり、組合員との信頼関係が重要であり、この信頼関係を深めてこそ経営分析が重要な意味を持つ。
分析を進めていくと自社の強み弱み(問題点)が見えてくる。経営体質や経営者の性格まで分かる。交渉では、相手を知り自分を知ることが大切であると教えられた。そのために、労働組合が日常の経営チェックを行い、企業合理化問題が起きる前に、組合員の雇用を守るための手だてを先に講じることが大切であると教えられる研修会であった。