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2007年2月7日更新

「温かく、ゆっくりと時間をかけてサポートする」ことが大切

「職場のメンタルヘルス」について安全衛生センターが研修を行う
「メンタルヘルス」への理解を深めた研修会の様子 「メンタルヘルス」への理解を深めた研修会の様子

  連合大阪労働安全衛生センターは1月17日、本年第1回目の理事会とあわせて「職場のメンタルヘルス」をテーマに学習会を開きました。講師には大阪市鶴橋で「こころの相談室」として診療所を開業している荒川幸博先生をお招きしました。

以下は、荒川先生の講演内容です。

 メンタルヘルスという言葉が、最近社会に浸透してきて精神科医に来る人が増えています。一般的に「うつ病」というものの、慢性疾患を抱えたままうつ病になっている人や、精神疾患だけでなく身体的に頭痛やめまい、吐き気などの症状が表れる人もいます。さらには、「大うつ病(難易性うつ病)」といわれる自らを傷つけたり、薬を大量に飲むなどの人格障害になっている人が増えているなどさまざまな診断がされています。

 誰もがいろんなストレスを抱えうつ病になる要素をもっているのですが、「まじめで会社では評価されるが、一方では完全主義者であるために柔軟性がなく、問題を一人で抱え込む。また、プライドが高く、自分に厳しく、人前で格好を付けてしまうタイプ」こういう人は往々にして自分の健康管理はしない人が多く、ストレスを抱え、発散できずに「うつ病」になってしまうことが多いタイプのようです。

 職場の中で一番多いストレスの要因は「配置転換」「上司との関係(人間関係、パワーハラスメント)」、「セクハラ」は被害そのものも要因でありますが、「(セクハラ被害を)訴えても取り合ってもらえない」ことが大きなストレスになっていることも少なくないです。

 多くのストレスからうつ病になる前に予防することが大事ですが、見た目での判断が難しいので、仕事のミスが多いとか元気がない様子を捉えて早期発見が非常に重要です。

 「うつ病」対策には、4つのケアがあります。第1は、「セルフケア」とよばれ自分で自覚することにより職場への相談、医療機関での受診です。しかし、前述したタイプの人は自覚をしない人が多い上に職場の中では平気な顔をしているのです。反対に家庭では症状や兆候が出ることが多くあるので、職場でおかしいなと思ったら家族に聞いてみる事も必要なことです。そして職場では“聞き上手”になり、ストレスの要因分析し産業医等の医療機関につなぐ。このような職場での対応が第2の「ラインケア」と呼ばれるものです。

 第3は、産業医と職場で対応する「事業所内でのケア」、そして第4が「事業所外の専門医療機関を含めて対応するケア」です。

 メンタルヘルスがようやく認知され、「うつ病」が病気として治療されれば、回復するものとして理解されてきましたが、職場復帰にはまだまだ大きな問題が残されています。職場復帰が完治ではなく、完治までには休養・休職した期間と同じくらいの時間がかかるものだと職場のメンバーが理解し、受け止めることが必要です。これには職場・家族・医療機関の協力が不可欠です。4つのケアが機能している職場に復帰しても、再発する場合もあります。ただ、腫れ物に触るような対応はしてはいけません。医師が職場復帰を判断するときには、本人が「うつ病」を自覚し、職場のことを気にしているからです。内臓疾患やけがから職場復帰した時、職場では温かく迎えているはずです。同じように温かく迎えることから始めて、ゆっくりと時間をかけてサポートしてほしいのです。