コラム「徒然なるままに」(2009年1月)
連合大阪 事務局長 脇本ちよみ
1年ほど前から、月2回、隔週の日曜日に「ヨガ教室」に通っている。
かなり運動オンチの私は、先生のポーズとはまるで似ても似つかぬ、かなり不細工な形の真似しかできず、つくづく自分の体の硬さや日ごろの運動不足を実感する時間でもある。しかし、どうにかこうにかついていくだけの1時間半のレッスンを終えた後は、体がとても軽くなり心地よい疲れと共に、心なしか背筋も伸び低い背も高くなったような気がするのだ。
そして、“教室にきてよかった”と最も思うのは「シャバーサナ(屍のポーズ)」というリラックスのポーズをする時である。手足を広げて仰向けに寝て、深い複式呼吸をしながら全身の力を抜くポーズである。なんとも心地よくて時に本当に眠ってしまうときもあるくらいだ。
“体の力を抜くということ”“呼吸を深くするということ”がこんなに体にも心にも良いということに、あらためて気づかされた思いである。
シャバーサナをする時、先生は「口の中の力も抜いて。奥歯をかみ締めないで」と言われる。ハッと気づくといつも奥歯をかみ締めている自分がいる。知らず知らず、肩にも背中にも腕にも体中に、そしてもちろん心にも、どこかいつも力を入れていた気がする。
今年、文化勲章を受章されたアメリカ人の日本文学研究者ドナルド・キーンさんが、インタビューで「日本の名作から学ぶものは?」と問われ、「優れた文学の世界に入って、その美しさを感謝して喜びを感じるだけでいいのではないでしょうか。学ぶ必要はないし、教訓はないのでは。心を動かすだけで十分だと思います」と答えておられたのが、非常に印象的だった。何事も気負わないで素直に感じとることが大事ということか…。
新しい年。経済も、雇用も、運動も、すべてに厳しい年になりそうである。きっと歯を食いしばる場面も多いことだろう。しかし、できるだけ気負うことなく、私にできる精一杯のことをしていく努力をしよう。