コラム「徒然なるままに」(2008年8月)
連合大阪 事務局長 脇本ちよみ
本当に暑い夏である。クーラーのない生活は考えられない毎日である。
私はもともとクーラーは好きではない。足元ばかりが冷えることや、外部との温度差が逆に体調を狂わせるからだ。それでもこの暑さにはやはりクーラーの力を借りずにはいられない。
クーラーなど考えもつかなかった子ども時代…。日中は同じように暑かったように記憶しているが、田んぼを渡ってくる風はことのほか涼しく、緑や水があると涼しいことは子ども心にも理解できた。そして夕方、各家の前には縁台があり、うちわを片手に仕事や家事を終えた大人も子どもも集まって、涼を取りながら世間話や、囲碁・将棋に興じつつ、夕げの前後を「近所」という地域のコミュニケーションが自然に取れていたと思い出す。
今はそんな風景は、少なくとも街中では見かけられない。どこの家も玄関の戸も窓も締め切り、クーラーをかけ部屋にこもっている。そうせざるをえない「都会の暑さ」でもある。
連合大阪が昨年実施した「大阪府民アンケート」の集計結果には、「地域絆(ちいきずな)=地域の絆」が府民の暮らしや格差意識に影響を与え、ひいては格差社会変革の鍵となることがいろんなデータから立証されている。その意味では、不便だったけれども古き時代の良き地域コミュニティの再生が、今あらためて求められているのだ…と思う。
また、これだけの暑さも含め国内でも大きな地震の頻発、局地的大雨や河川の氾濫など、世界的にも干ばつ続きで飢える子どもたちや大氷河の溶解などなど…地球は確実に少しずつ蝕まれていることを実感させられる異常気象が続いている。さらには、悲惨な事件が後を絶たない社会的な疲弊も含め、人と人との共生すらすでに危機に陥っている気がする。
かといって、今さらクーラーに代表される便利な生活を捨て、昔のような暮らしには戻れない…。
環境問題は今や世界共通の大きな課題である。地域コミュニティが社会の再生につながることも多くの人が感じている。社会的に大きな政策転換が必要なことは間違いないと思う。しかし、批判と要求と評論だけではすまないところまできているのではないか。
連合大阪としても環境の取り組みを考え、提起していくとともに、“「自分」にできることは何か”と考え、可能なことから行動することが大切だと思っている