コラム「徒然なるままに」(2007年11月)
連合大阪 事務局長 脇本ちよみ
私はお酒がまるで飲めない。だから、おいしい煎茶や抹茶を入れ、ちょっと高級な和菓子を食べるのが幸せなひと時である。
三重の「赤福」も好物の一つであり、あっさりとしたあのあんこが"なかなかいい"と思っていたのであるが…。それが、実は34年も前から消費期限の改ざんをはじめ、売れ残りの冷凍再利用や、おもちのつきなおし再利用など…数々の意識的な偽り行動を行っていたことが判明し、何とも悔しい思いであり憤まんやるかたない気持ちである。
「赤福」は歴史的な「老舗」でありブランドであるのに、地に落ちたものだと本当に情けない思いである。
「赤福」だけではなく、このところ「不二家」「白い恋人」などのお菓子のメーカー、「ミートホープ」や「比内地鶏くんせい」などのような食肉加工品、お米の偽ブランド表示などなど…、「食」にかかわる偽装や会社ぐるみの改ざんなどが「これでもか、これでもか」と明らかになってきている。「食の安全」に関心をもち、少しでも安心で安全なものやおいしいものを購入しようと思う消費者の心理に漬け込んだ改ざん行為、欺まん行為であり、許しがたいことであると憤りを感じる。
さらには、「人の命」を左右する、「薬害」も今大きな問題になっている。「命」を救い、永らえる、助ける行為として使われた薬でよもや命を縮めることになろうとは誰が想像しただろうか。命を削って生きる人生を余儀なくされた「C型肝炎訴訟原告団」をはじめとする多くの薬害に苦しむ人々の怒りと心労は察するに余りある。しかも、その投与の患者リストや副作用の問題についての資料などを、厚生労働省は製薬会社から入手しておきながら、長い間闇に葬ってきていたその事実、そしてその事実が判明してからでも事実に対する官僚的な発言や態度は本当に不遜であり「国民をなめるな!!」と叫びたい思いである。
「HIV感染」のときだって、いろんな公害訴訟のときも、結局、国は「国民」のほうを向いて考えてきていなかったではないかとあらためて怒りを感じるこのごろである。
加古川で起きた幼い子どもの殺人事件を出すまでもなく、今あらゆる場面で「安心・安全」が音を立てて崩れていっている…そんな社会になっている気がする。
社会を作るのは「人」であり、その「人」を欺く行為がまん延する社会に未来はない。「正直に生きろ」「真面目にやろう」「誠実な対応を」といくら子どもたちに教育しても、大人社会がこれだけ欺まんに満ちていれば子どもたちに響くはずがない。
安心で安全な信頼できる社会を作っていくのは、国の責務である。国の責務をあらためて問うと同時に、市民としてまた組合員としてどうこれらの欺まん行為をチェックしていくのか、私たち一人ひとりの正念場でもあるのではないだろうか。