コラム「徒然なるままに」(2006年6月)
連合大阪 事務局長 脇本ちよみ
5月の宿泊三役会に連合本部から古賀事務局長に来ていただき、講演をいただいた。非常にわかりやすく、歯切れよく、今の連合の課題を整理して語っていただいた。
最初そのレジュメを見て、春季生活闘争の評価などの文字と同時に、「働き方の改善」「ディーセントワーク(尊厳ある労働)」「ワーク・ライフバランス(仕事と生活の調和)」「パート労働者の均等待遇」「均等法改正」…などの言葉が並んでいることに、まずうれしい驚きを覚えた。
なぜなら、これらの言葉は今までどちらかというと「男女平等推進委員会」や「女性委員会」「女性担当者会議」などで多く目にする言葉である。もちろん、最近確実に連合全体の運動方針や政策課題に位置づいていることは承知していたものの、連合事務局長のレジュメに大きく登場し、語られる中身であるということに非常に大きな喜びをあらためて実感したのである。
時、まさに「男女雇用機会均等法」の改正時である。20年前「男女雇用機会均等法」が制定される時、(当時は「連合」ではなかったが)女性部としては、各職場での学習会・決起集会の開催はもちろん、東京での中央行動、国会議員へのはがき行動、署名活動など…多くの取り組みを必死で行った。多くの女性たちが、本当に手弁当で、自腹を切って、考えられるあらゆる行動に取り組んだ覚えがある。しかし労働組合としては、しょせん「女の課題」であり、全体の課題にはまるでならなかったし、取り組んでいた私自身もそんな問題意識を十分持ち合わせていなかった。それが、20年後の今、連合の課題のメインストリームに確実に位置づいてきたことにまさに「隔世の感あり」という思いだった。
6月は「男女雇用平等月間」である。賃金格差や雇用の二極化をはじめ、まだまだ差別は存在し雇用の男女平等達成にはほど遠い現実である。国際的にも非常に遅れており、ILO条約適用勧告委員会や国連女性差別撤廃委員会からも特に間接差別の禁止に取り組むべきとの再三の勧告を受けている。しかし、今回の均等法改正案には「間接差別」については3項目の限定列挙という形でしか盛り込まれず、私たちが望んだものにはなっていない。
今、社会は大きな転換期を迎えている。少子化問題、高齢社会の到来、若年者の雇用問題、働くものの格差拡大・二極化など、持続可能な社会にむけてのあらゆる課題が山積しているが、ある意味それらは「男女雇用平等」の課題と密接に結びついていると私は思う。
「人らしく働き、人らしく生きる」ことはみんなの願いである。男女を問わず、共に人として尊厳のある働きを得、共に人として家庭、地域で生きるという当たり前のことができる社会への転換が求められている。古賀事務局長はこのことを「男性長時間労働のスタンダードモデルの転換を」と言われた。労働組合として、しっかりと議論していくべき喫緊の課題だと思っている。