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理性に基づいた対話を

2014年8月25日(第10回執行委員会)

連合大阪 会長 山﨑 弦一

 まずは、広島市の豪雨災害で多くの方が亡くなられています。改めてご冥福をお祈りします。また、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。こうした異常気象など防災について、あるいは少子高齢化に対応した都市のインフラをどうするのかなどが地域での重要な課題となります。労働組合の立場からも関心を持って課題提起をしていくことが必要と感じていますので、皆さまと議論を進めていきたいと思います。

 さて、最低賃金については既に8月11日付のFAX速報でご報告しておりますが、昨年同様、19円アップの838円として審議会で答申がなされ、労働者側は8年ぶりに反対を表明しましたが、公益・使用者側の賛成で結審しました。最終的には8月27日の異議審を経て決定されますが、これまで審議会交渉にあたっていただいた委員の皆様、そして交渉を支えていただいた構成組織の皆さんには最後までのご尽力に感謝を申し上げます。

 全国的に最低賃金が上昇してきており、とくに都心部を中心に、地域別の最低賃金の引上げによる特定(産業別)最低賃金がのみ込まれる事態が起きています。今後、特定最低賃金のあり方を含めた賃金政策について、連合・構成組織で議論していく必要があると考えています。

 最低賃金に関して、先週の中央執行委員会での古賀会長から報告がありましたので紹介します。最低賃金は、先週末の時点で44都道府県において審議が終了し、8月下旬には全ての審議が終了する予定となっている。連合本部としての現時点の試算では平均780円、17円アップ。今年の審議の特徴として「公益と使用者は、上げ幅の議論に集中する」が、労働組合としては「健康で文化的な生活を送るためのミニマム」としての水準をどう考えるのかという議論が大切だと考えている。最低賃金の目安制度のあり方ついても、これから開催予定の全員協議会でも議論していきたいとの報告でした。

 最後に、長崎の原爆慰霊祭に出席して、いろんな方のあいさつを聞き、考えたことを紹介します。原子爆弾を作る科学的な発明・発見をしたのは、アインシュタインです。アインシュタインが、原爆のもとになる最初の論文を出したのが1905年であり、原爆が投下されたのが1945年ですから、人類はわずか40年で原爆を創ってしまったことになります。

 我々はいま飛行機を普通に利用していますが、ライト兄弟が初めて飛行に成功したのが1903年です。私たちは便利な生活をしていますが、その歴史は、たかだか100年ほどなのです。人類は科学技術を極めていく素晴らしい叡智を持っている一方で、それを戦争に使ってしまうという愚かさも兼ね合わせていることを改めて考えざるを得ません。

 哲学者の山折さんは、「人間は基本的に動物であり、野生とも無縁でもない、それを人間の理性で封じ込める仕掛けが必要」とのお話を思い出しました。その意味では、集団的自衛権の問題が大きな課題としてクローズアップされていますが、集団的自衛権の行使容認とは、野生に対して、野生で対抗しようとする愚かしい動きなのではと改めて考えざるを得ないのです。野生に対して、野生ではなく、日本の特異性を活かした知性でこの問題に対処するのかについて、真剣に議論していく必要があると思います。

 例えば、インドのガンジーは、「非暴力、不服従」で導いてきましたし、同じことをやれとは言いませんが、日本的に戦争を放棄する憲法を持っていて、戦後戦争に関わってこなかった立場として、なぜ集団的自衛権なのか、もう少し考えることがあってもいいのではと考えるのです。また、戦争は直接的な暴力ですが、ヘイトスピーチという言葉による暴力もある訳で、本当の意味の理性に基づいて対話していくことが求められていることを感じた次第です。もうひとつこうした活動に子ども、学生など次の世代を参加させていくことが重要だと改めて感じました。