〈1995年6月9日 日本批准〉
|
||
第1条 | ||
1. | この条約は、被扶養者である子に対し責任を有する男女労働者であって、当該責任により経済活動への準備、参入若しくは参加の可能性又は経済活動における向上の可能性が制約されるものについて、適用する。 | |
2. | この条約は、介護又は援助が明らかに必要な他の近親の家族に対し責任を有する男女労働者であって、当該責任により経済活動への準備、参入若しくは参加の可能性又は経済活動における向上の可能性が制約されるものについても、適用する。 | |
3. | この条約の適用上、「被扶養者である子」及び「介護又は援助が明らかに必要な他の近親の家族」とは、各国において第9条に規定するいずれかによって定められる者をいう。 | |
4. | 1.及び 2.に規定する労働者は、以下「家族的責任を有する労働者」という。 | |
第2条 | ||
1. | この条約は、経済活動のすべての部門について及びすべての種類の労働者について適用する。 | |
第3条 | ||
1. | 男女労働者の機会及び待遇の実効的な均等を実現するため、各加盟国は、家族的責任を有する者であって職業に従事しているもの又は職業に従事することを希望するものが、差別を受けることなく、また、できる限り職業上の責任と家族的責任との間に抵触が生ずることなく職業に従事する権利を行使することができるようにすることを国の政策の目的とする。 | |
2. | 1の規定の適用上、「差別」とは、1958年の差別(雇用及び職業)条約第1条及び第5条に規定する雇用及び職業における差別をいう。 | |
第4条 | ||
男女労働者の機会及び待遇の実効的な均等を実現するため、次のことを目的として、国内事情及び国内の可能性と両立するすべての措置をとる。 | ||
(a) | 家族的責任を有する労働者が職業を自由に選択する権利を行使することができるようにすること。 | |
(b) | 労働条件及び社会保障において、家族的責任を有する労働者のニーズを反映すること。 | |
第5条 | ||
更に、次のことを目的として、国内事情及び可能性と両立するすべての措置をとる。 | ||
(a) | 地域社会計画において、家族的責任を有する労働者のニーズを考慮すること。 | |
(b) | 保育及び家族に関するサービス及び施設等の地域社会のサービス(公的なものであるか私的なものであるかを問わない。)を発展させ又は促進すること。 | |
第6条 | ||
各国の権限のある機関及び団体は、男女労働者の機会及び待遇の均等の原則並びに家族的責任を有する労働者の問題に関する公衆の一層深い理解並びに当該問題の解決に資する世論を醸成する情報の提供及び教育を促進するための適当な措置をとる。 | ||
第7条 | ||
家族的責任を有する労働者が労働力の一員となり、労働力の一員としてとどまり及び家族的責任によって就業しない期間の後に再び労働力の一員となることができるようにするため、国内事情及び国内の可能性と両立するすべての措置(職業指導及び職業訓練の分野における措置等)をとる。 | ||
第8条 | ||
家族的責任それ自体は、雇用の終了の妥当な理由とはならない。 | ||
第9条 | ||
この条約の規定は、法令、労働協約、就業規則、仲裁裁定、判決若しくはこれらの方法の組合せにより又は国内慣行に適合するその他の方法であって国内事情を考慮に入れた適当なものにより、適用することができる。 | ||
第10条 | ||
1. | この条約は、国内事情を考慮に入れ、必要な場合には段階的に適用することができる。ただし、実施のためにとられる措置は、いかなる場合にも第1条1.に規定するすべての労働者について適用する。 | |
2. | この条約を批准する加盟国は、1.に規定する段階的な適用を行う意図を有する場合には、国際労働機関憲章第22条の規定に従って提出するこの条約の適用に関する第1回の報告において、当該段階的な適用の対象となる事項を記載し、その後の報告において、この条約を当該事項につきどの程度に実施しているか又は実施されようとしているかを記載する。 | |
第11条 | ||
使用者団体及び労働者団体は、この条約の規定を実施することを目的とする措置を講じ及び適用するに当り、国内事情及び国内慣行に適する方法によって参加する権利を有する。 | ||
第12条〜第18条(最終章) | ||
略 |
[ 家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約
ダウンロード (WORD形式) ]