2016年度 大阪市立大学・連合大阪寄付講座
日時 | 講師 |
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2017年1月16日 | 大城亜水氏(大阪市立大学経済学部特任助教) |
わが国の日雇い労働の起源は戦前期にまで遡るが、その後現在に至るまで日本経済のインフラ作りに大きな役割を果してきた。大阪の日雇い労働はその代表的ケースである。しかし、日雇い労働者の高齢化により、日雇い労働市場は縮小傾向にある。日雇い労働のこれまでとこれからについて、大阪を事例に描写する。
大城亜水氏
2000年代から派遣労働問題が顕在化、「スポット派遣」に代表される日雇派遣が注目された。これを新型日雇労働とすると、旧型は早朝に指定場所に集合して事業者と日々の交渉で労働の取引が行われる方式であった。
新型は、事業者が個別に連絡を取って労働契約を行う。この講義では、旧型日雇労働をクローズアップし、これまでとこれからを見ていく。
大正期の大阪は、繊維、機械、化学、雑貨をはじめとする日本経済の牽引役を果たし、大阪を中心に労働者が集中した。戦後の高度成長期は、港湾、運輸、建設に就労し、重要な役割を果たす。1980年代日雇労働市場がピークに達したが、1990年代グローバル化により転換期を迎え、日雇労働者のリストラにより就業機会が減少し、労働者の高齢化とともにホームレスが急増するようになる。
1996年大阪府、大阪市が日雇労働者に個別ヒヤリングを行い、雇用、福祉、住居の3部門でパーソナルサポートが実施されるようになった。西成労働福祉センターでは、常用型への就労支援に取り組んだ。雇用保険、健康保険では受給可能となったが、年金保険の老後保障が喫緊の課題である。
大阪府市は、特別清掃事業を開始。しかし、収入面では不足。労働と福祉の谷間に落ちる日雇高齢労働者のため、技能講習のさらなる充実と社会保険の改革が必要である。
1996年のホームレス実態調査は、大阪府、大阪市と連合大阪がヒヤリング調査を行ったものである。講義の最後に、講義に出席した連合大阪の多賀副会長からその取組みが紹介され、ホームレス特別措置法の延長が課題であることが提起された。