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2016年度 大阪市立大学・連合大阪寄付講座

ケーススタディ⑤
医療・福祉の現場(看護師、介護士、保育士)の労働課題

日時 講師
2016年12月19日 小林美希氏(労働経済ジャーナリスト)

講義のねらい

 講師は、若者の雇用、結婚、出産・育児と就業継続などの問題を中心に活躍する労働経済ジャーナリスト。医療、福祉、保育の現場の実態とそこに働く人たちの直面する課題や社会的背景について伝える。

講義内容要約

小林美希氏

小林美希氏

 労働者は全体で約5200万人。今や非正規社員は全体の約4割という異常な事態となり、結婚して共働きが増加。専業主婦と共働き世帯は、1997年に完全に逆転、ケアワーカーはますます必要な存在に。看護師、介護職、保育士の労働現場の実態を報告した。

 看護師の給料は高いと言われがちであるが、夜勤を月8回やってサラリーマン平均の400万に近づいているのが現実。

 働く女性に20人に一人、国民全体の100人に1人が看護職。減らない夜勤と残業で5割〜8割が看護師を辞めたいと思っている。毎年、10%以上が離職する。介護職は男性も増えたけど低賃金で続かない。

 やりがいを感じて始めた仕事も人手不足でマタハラ、パワハラが当たり前の世界。介護施設では夜勤があり、妊娠中や子育て期に夜勤免除されず辞めていく。訪問介護は細切れ雇用で低賃金。病院の介護職は看護師の補助で働くため、やりがい喪失。就職後1年未満で約4割が離職する。

 自治体が作る保育園が減り企業が作る保育園が増え、人件費が搾取されて、保育士が悲鳴を上げている。保育士は40万人で増えてはいるが、まったく追いつかない。民間保育所の急増でブラック保育園が増加。長時間労働、サービス残業が恒常化。離職が激しく、非常勤や派遣保育士まで担任に。

 サラリーマンの平均より10万以上賃金は低いが、子供の命を預かる保育の質と両輪の過酷な労働。支える人を支えなければ、いつか、みな共倒れになる。これらケアワーカーは皆、国の制度で働き方が変わる。他人ごとでない実態を気に留めてもらいたい。

講座を終えて

 過酷な労働現場の実態がレポートされ、受講者は改めて大きな社会問題として理解を深め、改善の意識を持つようになった。

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