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2016年度 大阪市立大学・連合大阪寄付講座

ケーススタディ④
ブラック企業と若者の労働問題 奨学金問題を絡めて

日時 講師
2016年12月12日 大内裕和氏(中京大学教授)

講義のねらい

 講師は奨学金問題を世に問うた第一人者であり、またブラックバイトやブラック企業問題にも積極的に取り組んでいる。若者を取り巻く切実な労働問題への対策と、奨学金を、真の「奨学」金とするための改革の方向性を解説する。

講義内容要約

大内裕和氏

大内裕和氏

 第二種奨学金は、借りた以上の金額を働きながら返済するという借金。この返済が問題となっているのは日本だけ。海外では奨学金を返済する国はない。

 現在の学生の利用率は52.5%。世の風潮は「今だけ、金だけ、自分だけ」。自分が借りていなければ、奨学金の話に関心ない。しかし、将来を見れば自分の子供が借りる可能性があり、それは二分の一の確率で家族の問題となる。

 大学を卒業した時に500万以上の借金を抱え、返済のために嫌な仕事を我慢して働かなければならない。遅延すれば、ブラックリストに。返済の道より、任意整理や自己破産を選ぶ方が、まだ将来が開ける。

 問題は、①適格者が無利子奨学金を得てない。②卒業後の返済の困難さ。③返済不安で奨学金を借りることを抑制。バイト漬け生活でブラックバイトから逃れられない。

 奨学金制度改正に向け、みんなで運動を起こすこと。すべての人が学べる社会へ。奨学金制度の改善と授業料の引き下げが重要。

講座を終えて

 授業終了後に、奨学金を受けている受講者から返済に関する相談を受けた。大阪市立大学では、奨学金を受けている学生は少ないようであるが、受講者の反応は大きなものであった。

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