2016年度 大阪市立大学・連合大阪寄付講座
日時 | 講師 |
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2016年12月5日 | 高橋 均氏(中央労福協アドバイザー) |
労働者自主福祉運動とは、働く者の連帯と共同で、自ら安心・共生社会をつくる営みである。労働金庫や全労済などはその目的のために労働者の手によって設立された代表的な事業団体である。労働者自主福祉運動の歴史と展望を述べる。
高橋 均氏
労働組合と生活協同組合が本格的に始動したのは、戦後の混乱期。敗戦で日本はアメリカを中心とする連合国に占領され、連合国軍最高司令官総支部(GHQ)の改革の一つが労働組合結成の奨励であった。
1945年に労働組合法が制定され、労働組合が活動を始めた。また、同時に生協=日本協同組合同盟も活動を始めた。労働者自主福祉運動(事業)は、生活困窮の中から生まれた。
映画「ボタ山の絵日記」(1957年、昭和32年)の1シーン5分の映像を紹介。食料不足のため、地域の小学生が力を合わせて田畑のザリガニを採り、各家庭の家族数に合わせてザリガニを配分する。一人がいくら採ったかは関係なく、各家庭の家族が食べられるように家族の人数割りで分ける。はたして、現在の小学生はこのような助け合い、みんなで分け合うことができるだろうか。
「困った時はお互いさま」という助け合い、連帯の原点である。あらためて連帯・協同・友愛・絆の意味をかみしめる。しかし、困った時はお互いさまというけれど、連帯は結構やっかいでわずらわしい。自己責任論の対極に「連帯」「共同」「友愛」「絆」がある。情は、くるくる廻って、みんなに返ってくるもの。そこに労働組合と労働者自主福祉運動の原点がある。
組合は、「困った時こそ助け合い」が基本精神。