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コラム「徒然なるままに」(2008年12月)

Yes, We Can.

連合大阪 事務局長 脇本ちよみ

 アメリカで新しいリーダーが選出された。「オバマ次期大統領」である。黒人であり、47歳という若さである。アメリカに“新しい時代が来た”と期待が膨らむ。

 “自由の国アメリカ”と何も知らずに憧れていた小学生の私に、大きな人種差別の問題を突きつけたのは、図書館で読んだ一冊の本「アンクル・トムの小屋」であった。アフリカから奴隷として売られてきた「アンクル・トム」の奴隷としての生涯を描いた話である。奴隷である黒人の非人道的な扱われ方と、「皮膚の色が違う」ということで、その扱いが長く当たり前になっていたアメリカ社会の存在は、当時の私にとって非常にショックであったことを思い出す。その後も、演劇「カレドニア号出帆す!」や映画「招かれざる客」など、黒人差別の根深さを描いた話をいくつか覚えている。

 そんなアメリカが、新しいリーダーとして黒人のオバマ候補を選ぶだろうかという一抹の不安があったが、心配は吹き飛んだ。オバマ候補の圧勝。勝利が確定したときの彼の演説には、奴隷制度の時代から、今まで生きてきた106歳の女性の話も盛り込まれており、彼にとっても自分の生い立ち、人種の壁を越えた新しいアメリカを創るという思いがこめられていることを強く感じた。

 「Change」「Yes, We Can」は、彼が聴衆に呼びかけた言葉の代表であった。「Yes, We Can(=私たちはできる!)」この言葉の響きは私にとって非常に新鮮であった。「I(私)」でもなく「You(あなた)」でもない「We(私たち)」のところがすごくいい!と思ったのだ。

 「私がやります。やり遂げます」ではなく、「あなたがやって!」でも「あなたたち行政が(○○が)すること、やるべきこと」でもなく、「We(私たちが)やり遂げる!」というこの訴えは何といい響きなんだろうと感じた。

 息苦しいくらいの閉塞感が今の日本を(いや世界を)覆っている。この閉塞感を変えられるとしたら…、それは「We」の力。一人ではなく、多くの人たちの横につながる力、違いがいろいろあってもそれを乗り越えて共に歩む力…そんな力を信じさせてくれる言葉だとあらためて思う。日本にも「Yes, We Can」この言葉の力が根付く努力をしていきたい。私たちも…。

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