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改正労働者派遣法案と安保関連法案の成立

2015年9月25日 (第23回執行委員会)
連合大阪 会長 山﨑 弦一

 第1点として、労働者派遣法の改悪案が可決・成立しました。「ストップ・ザ・格差拡大キャンペーン」などいろんな行動を起こしていく中で、派遣法に39の附帯決議が付きました。法律は成立しましたが、一定の歯止めはかかるのだろうと思います。
 連合は、「働くことを軸とする安心社会」をめざして運動を進めていますが、この派遣法が成立することによって、働く場での「安心」が失われていくことになるのではと危惧しています。派遣労働とは、一時的・臨時的なものという基本的なルールが崩れていくということ、また、常用代替はしてはいけないということが、ないがしろにされていくという抜け穴のある法律で、極めて危険な法律が成立してしまったということです。

 残業代ゼロ制度の問題もおそらく次の臨時国会で審議されるのではないか、安倍政権からすれば安全保障法制を仕上げたので、次はこの課題ではないかと危惧します。残業代ゼロ制度は、長時間労働につながることももちろんですが、「1日8時間労働」という原則を揺るがしかねない法律だろうと思います。このように歯止めがなくなっていくと、仕事は派遣労働ばかりになりかねないと危惧します。

 安倍政権で日本経済再生本部の「産業競争力会議」の民間メンバーを務める竹中平蔵氏は「全部派遣でいいじゃないか」と公言していますので、引き続き派遣法の運用なりについて、チェックしていかなければなりません。シールズの若い人たちが、「この法案に賛成した人は、次の選挙で落選させる」と叫んでましたが、まさにそのとおりだと思います。法の改正を含めて、次の参議院選挙で結果をだすことが求められていると思います。

 2点目としては、安全保障法制が強行採決され、成立したのは極めて残念なことです。最後まで民主党も阻止するために頑張っていましたが、残念ながら成立しました。この法制は、まず違憲であるという問題があります。今後、いろんな訴訟が起こされると思いますが、専門家に聞きますと法律が成立した段階で違憲訴訟を起こすことは困難で、違憲だという事案が発生しないと法廷闘争することは難しいようです。

 直近では、南スーダンに自衛隊がPKO派遣されていますが、ここでの駆けつけ警護が可能になると言われており、早ければ来年の2月ないし3月には海外で自衛隊が武器使用する事態が起こりかねないようです。このような事態になれば、自衛隊の皆さんの生死の問題が出てくるだろうと思いますし、相手を倒した時の反撃も起こることからすれば、日本国内におけるテロの可能性も極めて高くなることは覚悟しておかなければなりません。その意味でも、一般的な市民生活の「安心」も脅かされるという法律です。

 この法案も連合本部を中心に、今後のチェックをしていかなければいけません。できればこの法案の廃案にむけて動いていかなければと思います。昨日、安倍さんは自民党総裁に再選されて記者会見をしています。私は、映像を見ながら腹が立ちました。新しい「3本の矢」を持ち出しています。もともとの3本目の成長戦略がなにもできていない中で、新たな「3本の矢」と耳当たりのいい、実現可能性の少ない話を並べているということです。その裏側では、今申し上げたようなことが現実に起こっていることを、しっかりと私たちも認識して、対処していかなければなりません。

 引き続きいろんな運動を進めていかなければなりませんので、ご協力をお願いします。