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2008年3月1日更新

今が“旬” 『私鉄総連関西地方連合会』

非正規労働者の組織化に新たな局面

 10月に新聞報道された記事について取材するために、ストライキ設定日の翌日、12月10日に私鉄関西地連を訪れた。取材には、馬渕委員長と杣野書記長に対応していただいた。


馬渕委員長
馬渕委員長

 私鉄総連では、7月10日の中央委員会で産別の労働協約闘争の統一要求が確認された。その内容は、(1)年次有給休暇の初年度付与日数を当面3日以上積み上げる、11日以上の場合は2日以上、(2)祝日法改正による5月4日の「みどりの日」を特別休暇に加える、(3)入社後、3年間継続して就労した非正規雇用労働者を正規雇用化する、(4)裁判員制度導入に伴い裁判員特別休暇制度を設ける、という4点である。また10月10日の中央委員会では回答日が確認され、大手組合が11月27日、中小・ハイタクが12月5日とされた。また、スト権を確立した上で、12月9日には初発から正午までの半日ストライキを設定して交渉の前進を図ることが確認された。

 この3点目の非正規雇用労働者3年経過後の正規雇用化が、各新聞紙上でセンセーショナルに取り上げられ、見出しには「正社員化求めスト設定」という文字が躍った。

 この正規雇用要求の背景には、2004年に施行した労基法の改正で有期労働契約が「原則3年」に延びたことを受けて、私鉄総連の2005年の労働協約闘争で「非正規労働者のあり方に関する労使協議機関の設置」が要求化され、協議機関が設置されたことがある。

 関西の私鉄各社における非正規雇用の導入の経過は、輸送人員の漸減や規制緩和の影響などかつてとは異なる環境に対応するため、厳しい交渉の末に導入された経過がある。現在では、駅務・車掌・保線土木・整備など職種も広がり、各社ごとに多様な雇用形態が生じている。

 バス各社における非正規雇用の導入は、運転業務の委託という形で進められた。バス業種では子会社・別会社で一定期間の雇用を経て親会社に採用するという手法もあり、関西地連では、非正規労働者を正規雇用する一つの道筋とも受け止めている。

 労働協約闘争は統一闘争として進められるが、交渉は個別労使間で行われる。正規雇用化交渉についてもストライキを背景としつつ交渉重視の姿勢で進められた。結果は、非正規の正規化への道筋をつける成果を得ることができたが、総じてその扱いを「継続協議」として、今後の取り組みによりさらなる成果を求めることとなった。これは、関西の大手私鉄各社の労使では、非正規雇用者のあり方に関する労使協議機関が一昨年の労働協約闘争により設置されており、非正規雇用者の正規雇用化については、個別会社における登用制度として導入が進んでいる実態があることを踏まえたうえでの結果であり、また他産業の動向なども勘案しつつ取り組みの前進をはかるためのものである。

 関西地連は「交渉のなかで会社に正規雇用化要求を前向きに捉えさせることができたことは、今後の取り組みにより『継続協議』を前進させる手がかりになった」としている。関西地連では各単組による交渉結果を尊重しつつ、今後も非正規雇用者全員の正規雇用化に向けた取り組みが必要と認識している。

 今年2月に、大阪府吹田市であずみ野観光バス(現ダイヤモンドバス)による悲惨なバス事故があった。背景として規制緩和により企業間競争が激化し、コスト削減を追及するあまり労働条件の切り下げを含め「安全」がないがしろにされている現実がある。私鉄総連は労働協約闘争を通じて安心して働ける労働条件を構築し、公共交通の安全確保に積極的に取り組むとしている。

 これからの私鉄関西地連の取り組みに期待したい。(山本 修)

●私鉄総連関西地方連合会
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●組合員数:13,930人
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●執行委員長 馬渕貞美、副執行委員長 森田正美、書記長 杣野富雄