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コラム「あんな相談こんな事例」(9) 2012年9月

エプロンの似合うパパってかっこいい!!

連合大阪 非正規労働センター 相談員 大塚義彦

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6月は、男女雇用機会均等月間

イラスト 男女雇用機会均等法が制定されて26年目となり、厚生労働省は、今年も6月を「男女雇用機会均等月間」と定め、男女機会均等について、労使をはじめ社会一般に認識と理解を深める機会として、推進活動を実施する。しかし、永年の取り組みが続いているものの、女性が働く現場においては依然として問題が山積している。

育児しながら働きたい!(連合大阪への相談事例)

 妊娠中で切迫流産の恐れがあり1カ月ほど仕事を休んでいる。会社では、女性が結婚したら退職する習慣があり、現在、結婚している女性は私以外に1人だけで子どもはいない。同僚から「あんたのせいで仕事がめちゃ増えて大変や」と苦情を言われ、上司からは、「うちは、ぎりぎりの人数でやっている。1人休んでもみんなに迷惑がかかる」と退職を勧められた。それでも私は出産して育児休業の後も仕事を続けたい。

働き続けることの難しさ

 妊娠・出産・育児・介護のための休業は、労働者の個人的な事情であると考えられがちである。「育児短時間制度は冗談でない。生産性も下がるし、仕事の完成度も下がる」「休業期間も、その業務を空白にはできないので人を補充する。そうなると戻ってきても空きはない」「配置転換の配慮義務を盾に取られて、簡単な仕事に就かれても困る」と職場から本音が漏れる。会社には迷惑をかけたくないと考えて自ら退職する人は少なくない。

また、契約・派遣・パートなどの非正規労働者では、妊娠、出産時に雇用を維持できる人は多くはない。これらの理由で、そのつど退職しなければならないとすれば、結婚・出産し、さまざまな家族的責任を果たしながら働き続ける事は、きわめて不安定で困難と言わざるをえない。

変わらない女性労働者の特徴

 2010(平22)年度男女共同参画白書によると、わが国の女性労働力率の現状を年齢別に見ると30歳代を底としたM字型カーブを描いており、結婚、出産、子育て期に就業を中断する女性が多いことが挙げられている。これは昭和40年代から見られる特徴であり、現在も変わっていない。厚生労働省の2009(平21)年度雇用均等基本調査では、育児休業の取得率は、女性85.6%であるが、実態としては第1子出産を機に70%以上の女性が離職しており、単純に女性の取得率だけを見て育児休業が取得しやすい環境になったとは言い難い。また、男性の取得率はなんと1.72%で、流行語となったイクメン(育児する男性)は、まだまだ数が少ないのが現状だ。本年OECDの調査によると、男性の家事や育児参加時間は、29カ国平均の2時間18分に比べ、日本は59分と極端に低い。

男女平等、問題解決の特効薬

 職場で男女平等を確立するために、何年もかけてさまざまな対策が実施されているにも関わらず、なぜ昔と実態は変わっていないのか。「男性が仕事場で働き、女性が家庭で家事をする」という日本の社会通念は依然、強いものがある。その背景には、男性の長時間労働という問題が残っている。この解決もさながら、男女関係なく、自己のキャリア(仕事を通じての人生)を積み上げていくには、働く者自身が価値観を見つめなおす事も重要だ。

 日本の男性諸君、あなたの人生で大切なものは何か。「仕事は忙しいけれど、もっと家事と育児をやろう!!」

(執筆:2011年6月)