pagetop

「人」が大事にされ、安心して働き、暮らせる社会のために

事務局長 脇本 ちよみ

 2008年の年明けから原油高、株安が続き、不安材料ではあるものの、企業業績は2004年以降史上最高益を更新する企業が続出している。

 しかし、私たち労働者の賃金は9年連続で低下し、2006年の賃金水準は1997年の7%減に落ち込んでいる。家計収支も8年連続の赤字、国民の5人に1人が貯蓄ゼロ世帯であるなど、好景気といわれる実態が、働くものの家計の改善には全く及んでいないことがうかがえる。また、所得が伸びない一方で私たち働くものは恒常的な長時間労働を強いられ、過度なしわ寄せがおきているといえよう。さらに、パートや派遣など「非正規」で働く人が3割を超え、年収200万円以下世帯が22.8%にも達しており、働いても働いても生活が困難な貧困層が増加をし、「ワーキングプア」として社会問題にもなっている。

 このような状況の中、連合は2008 春季生活闘争で「格差社会からの脱却」を掲げ、昨年以上の「賃金改善」、特に内需拡大をともなう「月例賃金改善」を重視した公平な成果配分を求めていく方針である。また、労働組合の社会的存在をアピールし、国民的な広がりのある社会連帯を構築する意味からも、とりわけ、非正規労働者の処遇改善に取り組むことを前面に打ち出した方針も提示している。連合としては「誰もが幸せになれる人間らしい生活の実現」をスローガンに、「非正規労働月間」(2月)の設定、パート共闘会議の取り組み、パート労働者の時間給アップや労働条件改善の目安の設定等々、を提起している。  

 連合大阪としても、これら連合の方針に基づき取り組みを進めていく。とりわけ、「生活するに足りうる最低生活費=連合大阪リビングウエィジ額」を今回多くの生活費を参考にしながら割り出す作業に着手した。この「リビングウエィジ額=単身者時間当たり870円」を基本として、パート労働者等も含む企業内最低賃金の締結を今回パート共闘会議としての目標値として設定し呼びかけている。さらに規模間や男女間の格差是正、長時間労働の削減にむけた労働時間管理や割増率のアップ等・・の取り組み推進の方針を決定しているところである。

 雇用労働者は日本の働く者の8 割を占める。働く場や性別や雇用形態が違っていても働くみんなが日本の経済の多くを担い、支えていることは間違いない事実である。その一人ひとりがきちんと大事にされ、報われる社会にむけ、労働運動の真価が問われている。

 連合大阪は、連合傘下の組合員だけでなく、大阪府域で働く450 万人の先頭に立って、構成組織・地域組織と力をあわせてこれらの「賃金引上げ」「格差是正」「ワークルールの確立」等に全力で取り組む決意である。

 この春季生活闘争を推進するにあたって大阪的な資料をこの「春闘資料集」としてまとめた。構成組織や単組・支部の取り組みに中小支援やパート労働者の労働改善の取り組み等にぜひ活用いただきたい。