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社会的包摂が実現される社会へ

2017年3月17日 (第17回執行委員会)
連合大阪 会長 山﨑 弦一

 2017春闘においては、3月15日に第1次先行組合の回答が出された。まずは、当該の皆さんのご努力に敬意を表したい。3月15日時点での連合本部神津会長のコメントは、執行委員会資料の最終ページに添付しているのでお読み取りいただきたい。4年連続の賃上げ回答の意義は大きい。

 今後、中小の交渉が本格化をしてくる。すでにJAMでは、中小が大手を上回る要求を提出していただいている。大手追従・大手準拠からの構造転換を進めるべく、最大限のお取組みをお願いしたいし、連合大阪もその役割を果たしていきたいと考えているので、ご支援をよろしくお願いしたい。

 また、長時間労働防止に向けての取り組みということで、1か月の残業上限が100時間未満という表現で労使で決着した。いろんな批判の声もあるようだが、これについても最後のページの事務局長談話をご参照いただきたい。今後、議論になっていく部分もあるが、都度報告したい。

 以下、2つのことをご紹介したい。
 一つは、過日民進党の党大会が開催された。来賓として、慶應義塾大学経済学部の井手英策教授が挨拶した。この挨拶は今 you tube で見ることができるので、ぜひご覧いただきたい。井手教授は、前原誠司衆議院議員が会長を務める「尊厳ある生活保障総合調査会」のアドバイザーをしておられる。

 「自己責任の恐怖におびえる社会から、人間の顔をした政治による社会的包摂が実現される社会への転換へと、勇気あるパラダイムシフトが必要である。それがアベノミクスとの対立軸となる」と、力強い挨拶をされた。まったく同感であるし、どの挨拶よりも素晴らしかったと思う。

 もう一つは、アニメ映画である。先日、毎日映画コンクールで日本映画優秀賞を受賞された、片渕須直監督の「この世界の片すみに」という作品で、静かなブームとなっている。

 片渕監督については、NHKかんさい熱視線で、「あきらめない男―『この世界の片隅に』監督・片渕須直」という番組で紹介された。若くして宮崎駿さんに抜擢され頭角を現したが、その後、ご本人の言葉によると「全否定された」という不遇の時代にもへこたれず、あきらめることなく自分の思いを映画に結実させていくという生き様には感銘を受けた。

 映画自身は、昭和19年から20年にかけての戦時下での庶民の生活を描いたもので、その平和な生活が戦争によって蹂躙されていく様が丁寧に描かれている作品である。非常に地味な映画ではあるが、観る人が大変多く、元々そんな多くの映画館で上映されてなかったが、未だに各地で上映されている。

 この作品が今の日本の社会の中で、多くの人に受け入れられていることは、社会的包摂が実現される観点からすると、日本もまだまだ捨てたものじゃないな、という明るい気持ちにさせられた。我々もまだやれることがあると感じたので、ご紹介を申し上げる。ぜひ、興味と時間がある方は御覧いただきたい。